ベントグラスの肥培管理(芝生管理)について

2020.06.30 コラム

ベントグラスの管理方法は、基本的にC3植物(寒冷地)禾本科の生理に基づいて行うことが大切です。
この考え方は全ての植物の管理に当てはまります。このことはキーパー諸氏の方が技術・知識を持っておられる筈です。
むしろ現象及び技術については、何らかの裏付けに少しでも役に立てるよう心掛け、月を追ったメンテナンスレポート形式としました。

最近の天候は温暖化により気温の高い時期が長期にわたる傾向にあり、我々はそれを念頭に置いて管理計画を立てることが必要ではないでしょうか。
ゴルフ場芝生管理・雑草防除・メンテナンス業務

1月 芝はほとんど生育しませんが、呼吸作用は行っている。
作業としてはグリーンの防寒と夕方の手入れになる。できればカラーコントロールを。
降水量が少ない場合は冬期間でも散水に気をつけ、葉の水分保持に気をつける。
2月 日照時間が長くなり、日中の気温も上昇し地温も高くなってくる。
ベントグラスは根から始動するので早めに施肥をし生育を促進させる。
3月 更新作業を行う適期です。(エアレーション、スライシング、サッチング、改良剤散布、目砂等)
ベントグラスにとって負担の多い作業になる。日程が決まり次第、事前に多めの施肥を行う。
肥効が現れてから作業(エアレーション)を行うと、芝の負担が軽減され回復が早い。
4月 天候もベントに最適な温度で葉部・根部共に順調な発育をする時期です。
必要なエネルギーを供給し、根部のボリュームを高めるようにする。
更新作業で荒れたグリーン面の不陸をサッチング・グルーマー・トップドレッシング等で直し芽調節を行い、パッティングクオリティーの向上に努めて下さい。
5月 4月と同じような作業になるが、気温が高くなり芝のエネルギー吸収が高まります。
施肥量に十分気をつけ徒長を防ぐ。
下旬になると病虫害の発生に気をつける。特にコガネムシの幼虫対策が必要。
ネオニコチノイド系の殺虫剤が良い。鱗翅目系の殺虫剤を混合する。そろそろ梅雨に入る。
6月 梅雨です。曇天の日が続き光合成が阻害され徒長しやすく栄養不足になりやすい。
エネルギーは必要だが、肥料だけに頼らず栄養補助剤(活性剤)を上手に使用し、体力の消耗を防ぐ。
極端なエネルギー不足は、ダラースポットが発生しやすく、発生すると回復が遅い。
透水性と発根の促進のため、なるべく早くエアレーションを行うと良い。
ケミカルコントロール(植物成長調整剤)の散布で、徒長を抑制する方法もある。施肥との関連もあるので気をつける。
7月 梅雨明け高温乾燥の時期です。
梅雨明けのベントグラスは日照不足に育っているので直後の散水は、油断せずに十分気をつける。
7月の芝のコンディションは、8月の芝の維持に大きな影響を与えるので、今月の肥培管理と病害対策に十分気をつける。
土壌条件によっては、ドライスポットが発生する。
散水量と高温によりベントグラスは生理的に劣化が始まり、藻が発生しやすくなる。早めの対策が必要。
天候次第では6月の発生もあり得る。
8月 猛暑の中の管理になり、寒地型のベントにとって最も厳しい条件です。
散水量が増え、肥料が溶脱し易く、回復力も落ちて来ます。栄養不足に十分気をつける。
病害発生には、最大の注意が必要。
秋の立ち上がりを早くするため、更新作業(エアレーション、目砂)を行いたい。まだまだ散水量が多いので透水性の改善にもなる。
コガネムシの幼虫対策を行う。秋の被害はダメージが大きすぎる。
9月 感覚的にホッとしますが、7・8月の猛暑とストレスで上旬は年間でもっとも劣化している時期です。
但し、幸いなことに朝・夕の気温が下がって来ます。温度の下がり方を見て、ベントが少しでも活性を始めたら施肥をする。
秋は生育期間が短いため、早めのエネルギー対策をする。栄養補助剤を使用し、なるべく早く活性化を促進する。
10月 気温も最適になり、生育の適期です。
施肥量を多めにし、生育を旺盛にする。サッチング、グルーマー、トップドレッシングで芽調整を行い、葉数を増やし、しっかりした面に仕上げるように心がける。夏に消耗した根を回復させるための大切な月です。
11月 温度が低下し生育が少しづつ止まってきます。
冬期に備え必要なエネルギーとして施肥は多く与えるほうが良い。
温度が低いので濃度障害もなく芝も徒長することはない。
12月 霜が降り、また下旬頃には凍結が始まる時期です。芝保護のためカラーコントロールも良い。緑度を整える以外にマルチ効果と霜が早く溶けるメリットがある。凍結が来る前に施肥をする。

管理上の問題点

ベントグラスの管理は、グリーンとしての機能を維持するため、更新作業、施肥、ケミカルコントロール、散水等幅広い分野の作業が要求されます。特に重要なのは、年3回のエアレーション(コア抜き)時です。エアレーションは、土壌構成の三相分布と透水性の改善及び発根促進を目的で行う。ベントグラス(C3植物寒地型)は、生理的に6月(梅雨時期)~9月までの高温下では活性が衰えるので葉面吸収も出来る栄養補助剤(アミノ酸・亜燐酸、カルシウム・マグネシウム・鉄・光合成細菌・糖等)を併用し体力の消耗を防ぐ方法もある。

土性の重要性について

管理上、最も重要で問題になるのは、グリーンを構成している土性です。ベントグラスの生育に適していない土壌では、グリーンキーパーが懸命の努力をしても結果として現れません。特に透水性の悪いグリーンで毎年管理で苦労しているコースでは、土性の改良が必要です。
改良の方法としては、全面改良と使用しながら土性改良剤を使って行う方法がある。
改良には一時的に経費が必要になるが、毎年のランニングコストの軽減で十分ペイができ、コンディションの良いグリーンを提供できるメリットがある。
グリーンの土性の目安としては、固相50%・気相25%・液相25%位で塩基置換容量があり、透水性が150mm前後の土性がベントの生育・肥培管理・水管理・ドライスポット防止に好ましい条件です。根本的に土性を整えることは、全ての芝生管理の問題解決の早道です。